
【スマイルカーズ】2年半で100拠点展開を達成、YouTube などの発信が寄与
公開日:2025.09.16
最終更新日:2025.09.05
※以下はビジネスチャンス2025年10月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。
独自の施策により少ない買取台数で安定収益に導く
スマイルカンパニーが展開する中古車買取のFC「スマイルカーズ」は、開業からわずか2年半で100拠点を突破。急成長を後押ししたのは、YouTubeをはじめとしたSNSによる発信があった。また、紹介やリピーターを生む仕組みにより、月に5~7台の買取で安定収益を出す加盟店も続々と誕生しているという。同社の山野俊介社長に、チェーン急拡大の要因を聞いた。
コミュニティの魅力に共鳴 月20~30件の加盟問い合わせ
--2年半での100拠点の突破、おめでとうございます。なぜこんなにも早いペースで達成できたのでしょうか。
山野 FC事業を始める時に「3年で100店舗を達成する」と公言してしまったので、なんとしてでも達成したいという気持ちがありました。
ただ、実際にやってみて思うことは、100店舗って狙ってできるものではないなと(笑)。相次ぐ加盟問い合わせの対応に追われているうちに、いつの間にか100店舗契約になっていたというのが正直な感想です。
--何がそんなにも加盟希望者を惹き付けていると思いますか。
山野 加盟の問い合わせは月に20~30件ほど来るのですが、その半数がYouTubeなどのSNS経由です。開業当初からYouTubeで「スマイルカーズ ch」を運営しており、その配信を通してユーザーの集客はもちろん、加盟検討者からの問い合わせが増えています。やはり動画を通じてスマイルカーズというコミュニティに、魅力を感じてくれている方が多いように思います。
--YouTubeではどんな内容を配信しているのですか。
山野 最近は、研修で話すような内容をYouTubeで発信することが増えています。その動画をしっかり見た上で加盟希望をしてくれる方は、本部のことや仕事についての理解が深く、説明の手間も省けるので本部としてすごくありがたいですね。
また、YouTubeで発信をし続ける一番の目的は、「僕」という人間を知ってもらうためです。私個人や本部のことを見て、「この人たちと仕事をしたい」、「長く付き合っていきたい」と思ってもらうためのコンテンツだと思っています。
開業初期からのオーナーたちは、理念や考えへの共感が強く、新人オーナーの育成にも本部と同じ目線で関わってくれています。そのおかげで、規模が大きくなってもコミュニティの一体感が損なわれることはありません。
--無店舗型で開業のしやすさも加盟増加の要因だと思います。現在のFC加盟初期費用は。
山野 加盟金150万円、備品10万円、広告宣伝費10万円、運転(買取)資金500万円で、ミニマムで670万円ほどです。以前は、運転資金300万円と案内していましたが、それではギリギリ過ぎるので、今は500万円を推奨しています。
--収益モデルは。
山野 本部では、加盟店の収益を管理していません。オークションへの出品台数は毎月把握していますが、売上自体の報告は受けていないのです。本部としては、「10台で粗利100万円を一つの目標にしましょう」と伝えている程度ですね。

今年6月に開催された「100店舗記念パーティー」
200拠点達成に向けてアクセル セカンドブランドでグローバル展開も視野
--10台で粗利100万円ということは、売上的にはどれくらいになるのですか。
山野 売上や粗利は車種によってかなり違ってくるので一概には言えませんが、500~1000万円というところでしょうか。慣れてきたオーナーの中には、5台で粗利100万円と、効率良く利益を上げている方もいるようです。
加盟当初は、多くのオーナーが一括査定サイトに登録して、課金をして集客をしています。ただ、一括査定サイトでは競合が多いため、どうしても薄利になりやすい。ただ、そこで出会ったユーザーを一人ひとり丁寧に大切に接客することで、紹介につながっていきます。
1年ほど経つと、一括査定サイトの利用を卒業して、紹介や直接の問い合わせで買取をするオーナーが増えてきます。紹介案件は適正価格でも粗利が出やすいので、安定した収益につながりやすいです。一括査定を卒業したオーナーたちは、毎月5~7台ほど買い取って、十分な売上を上げているようです。
--一括査定から始め、紹介に結びつけることが重要なのですね。
山野 当社では一度買取したユーザーと公式LINEでつながるようにしています。定期的な発信に加えて、「紹介してくれた方にはAmazonギフト券1万円プレゼント」と案内し、新規の紹介を促しています。このような仕掛けで、ユーザーとの接点を継続し、紹介とリピート率を高めています。
また、パートナーシップ制度という仕組みも取り入れ、オーナー独自でパートナーを集めて、紹介件数を増やしています。
--パートナーシップ制度とは。
山野 オーナーが副業希望者などを独自にパートナーとして迎え、紹介を通じて案件を増やす制度です。パートナー経由で成約すれば、オーナーは粗利の数パーセントを報酬として支払います。成約率も高く、非常に効果的な運営方法だと感じています。
時には本部からオーナーに対して、パートナーを紹介することもあります。運転資金が足りず、すぐには開業できない加盟希望者に対して、資金が貯まるまでの間パートナーとして活動をしてもらうのです。そのようにパートナーから始めて、1年後くらいに加盟したオーナーが2人います。
--新規集客とリピーター確保の双方で、独自の取り組みが奏功しているということですね。ここから先の展望については、どのようにお考えですか。
山野 すでにエリアの重複も出てきているため、今後は加盟スピードがやや鈍化すると思われます。それでも200店舗までは拡大したいと思っています。もっと広く認知を得て、「スマイルカーズという買取店は安心だ」と思ってもらえるブランドにすることが目標です。
また今年10月に3周年を迎えるのを機に、セカンドブランド「スマイルトラック」を立ち上げます。トラックや重機、建機や農機などの中古買取を手がけるブランドで、本部では半年前から買取を開始しました。10月からは既存オーナーに向けて加盟を募っていく予定です。重機や建機は海外でもハンドルの左右の違いがなく、世界中でマーケットが広がっている分野です。今後は自社でも直接海外への販路を開拓し、よりグローバル展開を進めていきたいと思っています。

査定ノウハウも本部研修で提供
スマイルカーズ
スマイルカンパニー
(埼玉県川越市)
山野 俊介社長(46)
プロフィール:(やまの・しゅんすけ) 1979年1月生まれ、埼玉県在住。学生時代は高校球児。居酒屋やトラック運転手などさまざまな仕事に従事し、27歳の時にホンダディーラーに転職。営業担当時代はメーカーの全国表彰を6年連続で受賞し、10年間で1000台の販売記録も樹立。店長を務めた後の 2022年に同社を設立。家族は野球部の息子が1人の3人家族。自宅が好きですぐ家に帰るタイプ。
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