【カーブス/メンズ・カーブス】第二の柱「メンズ・カーブス」が本格始動

公開日:2023.02.20

最終更新日:2023.02.26

※以下はビジネスチャンス2023 年2月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

女性カーブスの強いエリアに同一オーナーが出店

 2005年に創業したカーブスジャパンは、50歳以上の女性をメインターゲットとした「女性だけの30分健康体操教室カーブス」を展開している。2020年には会員83.2万人、2020店舗まで拡大したが、コロナの流行により会員数が激減した。コロナ禍で苦戦を強いられたものの、当期の会員数はコロナ前の93%まで回復している。同社の増本岳会長に、コロナ禍での回復への取り組みと新業態「メンズ・カーブス」について聞いた。

カーブスジャパン(東京都港区) 増本 岳会長(58)

Profile  増本 岳会長(58)
1964年6月16日生まれ、神奈川県出身。88年明治大学政経学部経済学科卒。89年ベンチ ャー・リンク入社。2004年アメリカにて「カーブス」に出会い、その理念とビジネスに惚れ込む。05年カーブスジャパンを設立し代表取締役就任(現任)。 11年カーブスホールディングス代表取締役社長就任(現任)。 20年カーブスのグループ会社、ハイ・スタンダード代表取締役会長就任(現任)。

 

 

 

 

 

コロナでシニア会員減新規客層の開拓に注力

ーー50歳以上の女性をメイン顧客とする御社は、コロナで大きな影響を受けました。
増本 当社はシニアの比率が高いため打撃が大きく、約83万人いた会員が一時、54万人まで落ちました。会員数の落ち込みは業界ナンバーワンでしたね。そこから、休会や退会された方の復帰や新規層の開拓に力を入れて、現在はコロナ前の93%である77万人まで戻りました。業界の回復率の平均は80%を切っており、大手で90%を超えているところはないので、業界ナンバーワンの回復率だといえます。
ーーコロナショックから回復するためにどのような取り組みをしてきましたか。
増本 2021年は、休会や退会された方を戻すのに注力しました。インストラクターと顧客の繫がりが非常に強く、顧客もカーブスでの運動に価値を感じていたため、1~2年かけて徐々に会員が戻ってきました。加えて、当期の退会率は2.2%に留まっています。
 しかし、既存客の復帰だけでは会員数を戻すのにかなりの時間がかかります。そこで、コロナの恐怖感が比較的低い50~60代前半の新規集客に21年秋から舵を切りました。この層はリモートワークによるコロナ太りなど、新たな健康ニーズも生まれています。この需要を掘り起こして、当期はマーケティングを徹底してきました。現在の客層は以前と同様、50~70代が8割を占めており、60代がボリュームゾーンです。しかし、新規集客は逆転して50代が最も多くなっています。
ーーおうちでカーブスもコロナ禍でスタートしました。
増本 これは、休会された方に戻ってもらうための武器として始めました。現在2万1000人が利用していて、そのうち3000人が店舗とオンラインのWプランに加入しています。カーブスはライトユーザーが多く、自宅で自主的に運動するのは難しい。ただし、店に通いながらオンラインを利用するのは可能性があると思っています。特に、今注力している若い層は、仕事などの関係上、来店が難しいケースがよくあります。そこで、オンラインを使って自宅で運動してもらい、来店時にインストラクターによる運動指導や習慣化のサポートを行います。オンラインの利便性と、店舗のよさを使い分けるという考え方です。これは非常に喜ばれていて、Wプランの退会率は、店舗会員の半分以下になっています。
ーープロテインを主とした会員向け物販売上高は過去最高の163億円となりました。
増本 顧客の栄養の摂り方を改善するために補助食品をサブスクリプションで通販しています。コロナ前から食事サポートが根付いていたので、緊急事態宣言による約2カ月の臨時休業でも物販売上は落ちませんでした。さらに、プロテインにグルコサミンや食物繊維、乳酸菌等を追加したグレードアップ商品が非常に好評で、客単価は5000~6000円まで上がりました。これは加盟店の売上にかなり貢献しましたね。

紆余曲折した男性業態 口コミ・紹介で集客

複数人でのサーキットトレーニング

ーー御社は、2016年に新業態「メンズ・カーブス」を出店しました。女性カーブスの躍進をみると、男性専用をもっと早く出店しても良いように思えます。
増本 実は2013年に始めて、ずっと失敗していたんです。メンズ・カーブスは「健康のために夫にも運動してもらいたい」という、多くの女性メンバーの声を受けて始めました。しかし、集客が大変で。男性は、毎日運動する人と全く運動しない人で二極化していて、中間層が非常に少ないのです。対して女性は、健康意識はあるものの運動をしてこなかった中間層が多く、今のカーブスの顧客となっています。また、女性は複数の友人に拡散しますが、男性は親しい人にしか紹介しない傾向もあり、新規集客には苦労しました。
ーー都内の直営店で試行錯誤を続けた後、メンズ・カーブス1号店をオープンしました。
増本 1号店(大山町店)は、自治体連携によるものです。「健康づくりに力を入れたいので、カーブスを出店して欲しい」と、町からの依頼があり、女性カーブスを出店しました。女性カーブスが順調に進む中、男性はどうしようかと考えました。町で体操教室を開催したものの、全く人が来なかったため本格的に店を出すことになりました。直営店で苦戦した集客は、女性メンバーによる夫の紹介や、町の健康政策に位置づけた宣伝のおかげで会員が集まり、安定した運営ができるようになりました。運営を続けるうちに、男性向けのサービスの仕方などが見えるようになり、2018年から本格展開することになりました。
ーー女性カーブスと異なる部分はありますか。
増本 運動プログラムや店舗スペックは、女性カーブスとほぼ同じです。ただ、男性は女性よりも身体が硬いので、ストレッチを簡単にしています。運動強度に関しては、動かすペースにより負荷が変わる油圧式マシンを使用して、個人のフィットネスレベルに合わせた運動をしています。

男女ともに油圧式マシンを使用

ーー現在、メンズ・カーブスは全国に15店舗です。どのように出店を決めているのですか。
増本 基本的に女性カーブスが強いエリアで、同一オーナーが出店します。集客のメインは女性メンバーからの紹介になります。女性カーブスが3店あって、各500人の合計1500人の会員がいたら、メンズ・カーブスを出店してもリスクは少ない。完全に既存オーナー向けの+αブランドです。はじめに女性メンバーに紹介してもらって、その後は男性メンバーの紹介や地域密着のイベントで会員を増やしていくのが基本です。男性は継続率が低い傾向にありましたが、出勤のように生活のリズムになれば結構続きます。そのため、男性が継続できるよう、運動の楽しさを教えたり、習慣化のサポートをします。
ーー御社は一部エリアでFC募集を再開しました。今後の展開を教えてください。
増本 当社では出店よりも、運動している人数を重視しています。会員数を最大化するための出店攻勢は、メンズ・カーブスを含めてトータルで考え直しているところです。新規FC募集は、空白地帯を対象に地域限定で行っています。長い目で見ると、加盟企業数を限定した方が店舗数と会員数が増えます。既存加盟店にはノウハウがあるので、トラブルも少ないです。新規オーナーにも複数経営する考えで、加盟いただいています。

 

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